不動産売買登記の必要性
不動産購入による買主の所有権の確保
不動産を購入することによって、買主は通常、不動産の所有権を取得します。
不動産の売り買いの成立によって、通常は、売買代金のやり取りによって、不動産の所有権が売主から買主に移転します。
普段の買い物やテレビのような品物と同じように、物の売り買い、金銭の支払いによって、不動産も所有権が移転します。
普段の買い物やテレビのような品物(動産)の場合は、金銭を支払い、品物の引渡しを受けることによって、その品物が自分の物であることを第三者に主張することができます。
ところが、不動産の売買の場合は、その不動産を自分の物であると第三者に主張するためには、金銭の支払いと引き渡しのほかに、その不動産を管轄する登記所に、登記、すなわち、登録をすることによって、自分の物であると主張することができます。これを登記の第三者対抗要件といいます。
仮に、不動産の売買代金を支払っておきながら、買主ご自身の名義に変更されていない場合であっても、不動産の売買契約の当事者、すなわち、買主と売主との間では、もちろん、有効で、買主は売主に対して、この土地は私(買主)の土地ですね、と言うこと、主張することはできます。
ですが、もし、第三者、例えば、売主から、ほかの買主への二重の売買契約によって不動産を購入した人が、先に、登記手続を済ましてしまうと、最初の買主は後から購入した人に対して、この土地は自分の物だから出て行ってください、と主張することができなくなってしまいます。
このように、日本の不動産売買の登記制度は、登記手続をするしないの自由はあっても、この登記手続をしておかないと、完全には買主の所有権を第三者に主張することができません。
ですから、不動産の売買の成立によって、買主が所有権を取得した場合は、直ちに、その日のうちに、登記手続をする必要があります。
世の中は、信頼関係を基本に成立していますが、こと、登記手続を伴う場合には、万全を期する必要があります。
ですので、不動産の売買の場合は、必ず、買主ご自身の名義に変更(移転)登記する必要があります。
万が一、売買代金を支払い、不動産の所有権が買主に移転したにもかかわらず、売主が登記手続に応じない場合には、ご自分(買主)に所有権を移転登記せよ、と請求する権利(物権的請求権)が当然にあります。
不動産売却による売主の所有権の移転義務
不動産を売却したことによって、売主は通常、不動産の所有権を失います。
不動産の所有権を失ったにもかかわらず、その所有権を買主に移転しないで、売主の名義のままにしておくと、固定資産税の請求が売主に永久に来ることになります。
また、不動産の所有者は、その不動産から損害が発生した場合には、賠償する責任を負います。
ですから、売主が売買の成立によって、不動産の所有権を失った場合には、その所有権を買主名義に移転する必要があります。
万が一、売買が成立し、不動産の所有権が買主に移転したにもかかわらず、反対に、買主が登記手続に応じない場合には、ご自分(売主)から買主様に所有権を移転登記せよ、と請求する権利が当然にあります。