不動産売買登記と相続財産管理人

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不動産売買登記と相続財産管理人

相続人不存在による相続財産管理人

相続財産管理人とは

相続が開始して法定相続人を戸籍上探したが、法定相続人が誰もいない場合、
「相続人不存在」として、被相続人名義の遺産は、「相続財産法人」に属することになります。
また、法定相続人全員が家庭裁判所に対して相続放棄をした場合も、相続人不存在となります。

被相続人名義の不動産がある場合、被相続人の利害関係を有する者から、家庭裁判所に対して、相続財産管理人選任の申立をすることができます。
選任された相続財産管理人は、被相続人名義の遺産を「相続財産法人」とし、精算行為を行います。

この精算行為の中で、被相続人名義の不動産がある場合には、
不動産の名義人の表示を「亡だれだれ相続財産」とする登記名義人表示変更登記をします。

その後に、相続財産管理人が不動産を売却して、現金に換えます。
この不動産の売却には、家庭裁判所の許可を必要とし、不動産の所有権移転登記手続にも、この家庭裁判所の許可書を添付します。

具体例

例えば、不動産の名義人が亡くなり、その名義人は、亡くなった当時、配偶者もいない、子供もいない、一人っ子で兄弟姉妹もいない、その父母も亡くなっていない、お祖父さんお祖母さんも亡くなっていない。
こういう場合に、相続人がいない、相続人不存在ということになります。

では、相続人が誰もいない場合、この人が持っていた不動産などの遺産は、どうなるのでしょうか。
この場合、最終的には、この人の遺産は、国に移ることになります。国庫に帰属する、ということになります。

次の事例の場合は、どうしたらよいでしょうか。

一人暮らしをしていた人には、相続人は誰もいません。自己所有のマンションに住んでいました。
身体が弱く、病院通いをしており、生活費にも困っていました。マンションの管理費も支払えず滞納し、サラ金に借金もありました。貯金はほとんど残っていませんでした。
この人はこういう状態で亡くなり、相続人ではない親族が、葬儀をし、お墓を手配しました。この親族が葬儀費用を立て替えました。

この場合、この人は、借金を残したまま亡くなり、唯一、残ったのがマンションです。
マンションもこのままにすることはできず、親族は、なんとか解決したいと考えています。

親族としては、このマンションを売却して、現金にし、借金を返済し、自分が立て替えた費用を返してもらいたいと考えています。
さらに、お墓については、永代供養料として、お寺に数百万円支払わなければならない、ということです。
もし、永代供養料を支払うことができなければ、この人は無縁仏として扱われるということです。
親族としては、無縁仏では忍びがたく、なんとかしたいと考えています。

この場合、この親族は「相続債権者」として相続財産管理人から立替費用を返してもらうことになるでしょう。ただし、立替費用が適正かどうかは、相続財産管理人が判断します。

こういうときに、民法では、相続人不存在として、「相続財産法人」という規定を設けています。

民法
(相続財産法人の成立)
第九百五十一条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
(相続財産の管理人の選任)
第九百五十二条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。

民法 | e-Gov法令検索

相続財産を法人として、親族などの利害関係人が、家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをします。この相続財産管理人が、この人の相続財産について整理します

特別縁故者への分与  

家庭裁判所が行う相続人捜索で相続人がいない場合、亡くなった人と一緒に暮らしていた人、療養看護をしていた人など、亡くなった人と特別の縁故があった人に、相続財産の全部または一部を与えることができます。

民法
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の三 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

民法 | e-Gov法令検索

相続財産の国庫帰属  

最終的に残った相続財産は、国に、国庫に帰属することになります。
次を参考にしてください。
共有者の一人が相続人不存在の場合

相続人不存在の場合の相続財産管理人選任の申立手続と費用

  1. 申立書を家庭裁判所に提出する
    申立先:被相続人の最期の住所地の家庭裁判所
    申立をする人:相続財産について法律上の利害関係がある人(相続債権者、特定遺贈の受遺者など)
  2. 家庭裁判所に予納金を納める。金額は家庭裁判所から連絡がある。金額は事案によって異なる。約30万円以上。
  3. 家庭裁判所が相続財産管理人を選任した旨の公告をする。(2か月の期間)
  4. (2か月の期間経過後)相続財産管理人が、相続債権者、受遺者、特別縁故者などに対する公告と催告をする。
    相続債権者、受遺者、特別縁故者などに対して、2か月以上の期間内に請求することの公告をする。わかっている債権者などには、個別に催告する。
  5. (2か月の期間経過後)さらに、相続人捜索の公告をする。(6か月の期間)
    この催告期間内に相続権を主張する相続人がなければ相続人不存在が確定する。
  6. 相続財産の換価
    原則は、競売(公売)。家庭裁判所の許可を得て、任意売却
  7. 相続財産管理人による精算行為

相続財産管理人選任申立の必要書類

被相続人
(1)除籍謄本(出生から死亡までの除籍謄本など)
(2)戸籍の附票(または住民票の除票)
(3)被相続人の遺産目録
(4)不動産登記事項証明書(不動産があれば)

申立人(利害関係人)
(1)戸籍謄本
(2)戸籍の附票(または住民票)
(3)利害関係を証する書面

相続財産管理人候補者
1)戸籍謄本
2)戸籍の附票(または住民票)
 ただし、現在、神奈川県内の家庭裁判所では、相続財産の金額にもよりますが、通常、相続財産管理人を家庭裁判所の指定する弁護士または司法書士とする取扱いです。

申立の費用

家庭裁判所に支払う費用
(1)申立手数料    −     800円(収入印紙代)
(2)切手代      −  約3,000円
(3)官報公告料    −  約5,000円
(4)予納金      ー約300,000円以上(事案によって異なる。)
官報公告掲載手数料   − 約50,000円
当事務所司法書士報酬  − 110,000円(税込み)

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