不動産売買登記と耐震基準適合証明書

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不動産売買登記と耐震基準適合証明書

不動産売買登記で、築20年を超える木造住宅の購入で、所有権移転登記の登録免許税の軽減を受けられますか? 住宅ローン減税の適用がありますか?

登録免許税の減税を受けるための基本条件

基本的なところで、築20年以内の木造住宅、築25年以内のマンション(不動産取得税は建築年が昭和57年1月1日以後)の場合、基本の条件をクリアすれば、①不動産売買による所有権移転登記・住宅ローンの抵当権設定登記の登録免許税の軽減、②不動産取得税の軽減、③住宅ローン減税を受けることができます。
住宅用家屋証明書(不動産売買登記の登録免許税の減税証明書)を参考にしてください。

登録免許税の減税を受けるための基本的な条件は、次のとおりです。
1 居住用不動産であること(個人の買主ご自身が居住すること。)
   次の場合には、登録免許税の軽減の適用はありません。
   親が子のために不動産を購入する場合
   投資の目的で、賃貸住宅として購入する場合
2 建物の築年数が、原則、木造戸建であれば20年以内、
   マンションであれば25年以内であること。
   (不動産取得税は建築年が昭和57年1月1日以後)
  → 耐震基準適合証明書を取得できれば、築年数の制限をクリアできる。
3 建物の登記上の床面積が、50㎡以上あること。
4 住宅ローンの借入れで住宅を購入される場合は、
   その借入れが住宅ローンであること、抵当権の設定登記であること。

この築年数、20年あるいは25年を超える場合(不動産取得税は建築年が昭和56年12月31日以前)は、原則、不動産売買による所有権移転登記の登録免許税の軽減などの税金の軽減を受けることができません。

ですが、特例として、建物が現在の耐震基準に適合しているものであれば、築20年を超える木造住宅、築25年を超えるマンションの場合(不動産取得税は建築年が昭和56年12月31日以前)であっても、耐震基準適合証明書により、不動産売買による所有権移転登記の登録免許税の軽減などの税金の軽減を受けることができます。
もっとも、耐震基準に適合していないのであれば、この証明書が発行されないのは言うまでもありません。
この耐震基準適合証明書は、住宅用家屋証明書を取得する際に市区町村役場に提出するものです。
取得した住宅用家屋証明書を登記所に提出することによって、売買の所有権移転登記や抵当権設定登記の登録免許税が軽減されます。
また、住宅ローン減税を受ける場合、確定申告の時期に、この耐震基準適合証明書を税務署に提出します。

耐震基準適合証明書を取得するには

耐震基準適合証明書の取得は、建築士(建築士事務所に属する建築士に限る)、指定確認検査機関または指定住宅性能評価機関に依頼し、耐震診断を受けて、新耐震基準を満たすことの証明書(耐震基準適合証明書)を取得すれば、築年数、20年あるいは25年を超える場合(不動産取得税は建築年が昭和56年12月31日以前)であっても、不動産売買による所有権移転登記の登録免許税の軽減などの税金の軽減を受けることができます。

昭和56年5月31日以前に建築確認申請が出されたものについては、必ず現地建物の耐震診断をする必要があり(耐震診断の費用は木造で約20万円かかるといわれています。)、その結果、耐震基準適合の判断をされたもの、あるいは、耐震補強工事をしたもの(工事費がかかります。)について、耐震基準適合証明書の発行が可能となります。(実際の耐震診断の方法は建築設計事務所にお問い合わせください。)
ただし、耐震基準適合証明書の発行手数料は別途かかります。(下記)

昭和56年6月1日以後に建築確認申請が出されたものについては、一応の耐震診断をして耐震基準適合証明書の発行が可能となります。(上記よりも費用が安く済みます。)(実際の耐震診断の方法は建築設計事務所にお問い合わせください。)

耐震基準適合証明書を取得する場合の主な注意点は、次のとおりです。

  1. 証明書の申請者は、
    申請者は基本的に、売主です。買主ではありません。申請書に記載する住所・氏名は、売主である所有者の住所・氏名を記載します。
    耐震基準適合証明書を取得しようとする場合、買主が現在の所有者(売主)に協力を求めることになります。
    費用の負担は、実際のメリット、税金の控除、減額が買主にあるので、費用は買主の負担とするのが通常です。
  2. 証明書の取得時期は、
    不動産売買による所有権の移転の時(引渡しの日。例えば所有権移転登記日)までに証明書を取得します。
    所有権移転登記の後に証明書を取得しても、使用することができません。
    所有権移転登記が終わった後に耐震基準適合証明書を取得したとしても、登録免許税の還付を受けることもできませんし、住宅ローン減税を受けることもできません。
    ですから、買主としては、不動産決済の前に、売主にお願いして、費用を払って、この証明書を取得してもらいます。
  3. 証明書の種類
    ①不動産売買による所有権移転登記の登録免許税の軽減、②不動産取得税の軽減(建築が昭和57年1月1日以後の場合は不要。)、③住宅ローン減税、それぞれに使用するため、税制特例の区分に応じて、それぞれ国土交通省所定の証明書3通を取得する必要があります。
    ただし、不動産取得税の減税については、建築が昭和57年1月1日以後の場合、不動産取得税が軽減されますので、「不動産取得税についての証明書」は不要となります。

不動産取得税の場合(令和3年9月1日現在)
木造・マンションともに、昭和57年1月1日以後建築のものは、耐震基準適合証明書は、不要です。
これ以前に建築したものについては、耐震基準適合証明書が必要です。耐震基準適合証明書がないと不動産取得税の軽減がありません。

耐震基準適合証明書を取得すれば、基本的に、手続の順番からすると、
①不動産売買による所有権移転登記の登録免許税(建物)の軽減(抵当権設定登記も)、②不動産取得税の軽減(昭和57年1月1日以後の建築の場合は不要。)、③住宅ローン減税を受けることができます。

耐震基準適合証明書を取得する場合の費用については、木造家屋の場合、5万円から10万円と言われています。(建築設計事務所により費用が異なります。)
買主としては、次の①②③がある場合、十分メリットがあります。
① 所有権移転登記の登録免許税の減税を受ける場合
② 抵当権設定登記の登録免許税の減税を受ける場合
③ 住宅ローン減税を受ける場合

①の 所有権移転登記の登録免許税の減税を受ける場合のみの場合、耐震基準適合証明書を取得するメリットは、場合によってあまりない場合があります。
建物の評価価格が300万円の場合を考えてみましょう。
減税適用がない場合の登録免許税は、
 300万円×2%=60,000円
減税適用がある場合の登録免許税は、
 300万円×0・3%=9,000円
そうしますと、60,000円-9,000円=51,000円
耐震基準適合証明書を取得すれば、51,000円分登録免許税が安くなりますが、建築設計事務所に支払う手数料を51,000円としますと、耐震基準適合証明書を取得する意味がありません。
結局、 ①の 所有権移転登記の登録免許税の減税を受ける場合のみの場合、 「建物の評価価格」と「建築設計事務所に支払うべき手数料」を考慮して、メリットがあれば耐震基準適合証明書を取得することになるでしょう。

住宅ローンが3,000万円の場合を考えてみましょう。

抵当権設定登記の登録免許税は、
減税適用がない場合:3,000万円×0・4%=120,000円
減税適用がある場合:3,000万円×0・1%=30,000円
そうしますと、120,000円-30,000円=90,000円
耐震基準適合証明書を取得して建築設計事務所に費用を支払っても、90,000円お得になるということです。また、住宅ローン減税により、さらにお得になることになります。

耐震基準適合証明書を発行する建築設計事務所への依頼は、直接、お客様にしていただきます。
買主は、不動産仲介業者に、建築設計事務所への手続の依頼をされるとよいでしょう。

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