不動産売買登記と買主の登記する住所(新住所か現住所か?)

不動産売買登記と買主の登記する住所(新住所か現住所か?)

不動産を購入する買主は、不動産売買による所有権移転登記の際、住民票をご用意いただきます。
住民票とは、現在住んでいる住所地の市区町村役場で取得する住民票です。

買主の購入する不動産が、登録免許税、不動産取得税や住宅ローン減税(所得税の減税)の適用のある不動産(マンションや建物)を購入する場合の登記に必要な住民票について、説明いたします。

不動産売買登記と住宅用家屋証明書との関係

これら税金の軽減を受けることのできる不動産(マンションや建物)を購入し、居住する場合には、不動産売買による所有権移転登記の際、登記所に提出する証明書として「住宅用家屋証明書」を市区町村役場で取得します。

この「住宅用家屋証明書」を取得できる基本的な条件は、購入するマンションや建物に、すでに居住していることが必要です。
「すでに居住していること」を証明するには、購入するマンションや建物に住所を移していることを意味します。
この場合、「住宅用家屋証明書」を取得するために必要な住民票は、基本的に、購入したマンションや建物に住所を移した後の住民票が必要となります。

住所についての市区町村役場の見解

通常、購入されたマンションや建物に住所を移す場合、購入したマンションや建物の売主との売買代金の精算が行われた後に行います。

これは、購入したマンションや建物の鍵の引渡しなど不動産そのものの引渡しは、売買代金の支払が完了した後に、売主から買主へ行われるからです。

鍵の引渡しなど不動産そのものの引渡しがあってはじめて、買主は、購入したマンションや建物に家財道具や荷物を運び入れることができるからです。

家財道具や荷物を運び入れ、実際に、購入したマンションや建物に住める状態のことを「居住している」ということができます。

住民の住所を管轄する市区町村役場の法律上の考え方は、上記の解釈ですので、購入したマンションや建物に住める状態ではない場合は、居住しているとみなすことができません。引越したということができません。

ですから、市区町村役場への住所の変更届は、完全に、購入したマンションや建物に住める状態になった後に、すなわち、引越した後に、行うことになります。

不動産売買の所有権移転登記申請とのタイムラグ

上記のように、例えば、鍵の引渡しなど不動産そのものの引渡しが、2月20日の場合、この日には、売買代金の精算が行われます。
売買代金の精算が行われる結果、鍵の引渡しなど不動産そのものの引渡しが行われます。

鍵の引渡しなど不動産そのものの引渡しが行われた結果、買主は、購入したマンションや建物に引越しすることができます。住むことができます。住所を移すことができます。市区町村町役場に住所の変更届をすることができます。

購入したマンションや建物の売買代金の精算が行われると、通常、その日(同日)のうちに、不動産の名義を売主から買主へ移転登記します。

売買代金の精算が行われる日時点での買主の住民票の住所は、その時点での住所、すなわち、新しい住所ではなく、それまでの住所です。

そこで、買主の購入される不動産が、登録免許税、不動産取得税や住宅ローン減税(所得税の減税)の適用のある不動産(マンションや建物)を購入され、居住される場合には、前記「住宅用家屋証明書」を取得する必要がありますが、それまでの現住所での取得となりますので、別途、市区町村役場に申立書や賃貸借契約書写しなどを提出する必要があります。

登記上の買主の住所は、購入不動産の前の住所で登記されることになります。

もっとも、買主の住所の移動を売買代金の精算前に、不動産の引渡し前に、便宜、行われていると聞き及んでいますが、これはお勧めすることができません。

県税事務所、税務署への届出

売買代金の精算、不動産の引渡しが行われた後は、すみやかに引越して、新しい住所地に住所を移します。
市区町村役場への住所変更の届出(転入届)は、基本的に引越した日から2週間以内にしなければなりません。

すみやかに住所を移さない場合は、次の、不動産取得税や住宅ローン減税(所得税の減税)を受けることができない場合もありえますので、すみやかに引越して、住所を移します。

引越した後は、その日から2週間以内に、市区町村役場に住所変更の届出をしなければならない決まりとなっています。

登記手続が完了した約3か月後には、都道府県税事務所から「不動産取得税の納税通知書(または、その前に予定の納税額が記載された文書)」が送られてきます。
不動産取得税の軽減を受ける場合も、「居住していること」が条件となりますので、この場合、都道府県税事務所に新しい住所地の住民票を提出します。これによって、不動産取得税の軽減を受けることができます。

住宅ローン減税(所得税の減税)の軽減を受ける場合は、売買代金の精算、引渡しのあった年の翌年の確定申告時期に、所得税の確定申告を行います。
この場合も、「居住していること」が条件となりますので、税務署に新しい住所地の住民票を提出します。これによって、所得税の軽減を受けることができます。

買主の住所変更登記は

買主の住所が、購入不動産の前の住所で登記された場合は、後日、住所変更登記が必要となります。
すなわち、後日、不動産の売却による所有権移転登記、住宅ローンの返済による抵当権の抹消登記など登記申請の際に、住所変更登記が必要となります。

住所変更登記には、いつまでしなければならないという期限がありませんので、あわてて住所変更登記をする必要がありません。
もっとも、住所変更登記をすぐにすることは自由です。

次を参考にしてください。
不動産売買登記と現住所での登記
登記名義人の住所変更登記(必要書類)
住宅用家屋証明書(不動産売買登記の登録免許税の減税証明書)

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