不動産売買登記の登記原因証明情報
不動産売買による所有権移転登記に限らず、登記の申請には、基本的に(例外を除いて)、「登記原因証明情報」を添付書類(添付情報)として、登記所に提出しなければなりません。
そこで、不動産売買登記における「登記原因証明情報」について説明いたします。
不動産売買登記・登記原因証明情報の基本形
登記原因証明情報(例) 1 登記申請情報の要項 (1)登記の目的 所有権移転 (2)原 因 令和3年9月1日 売 買 (3)当事者 権利者 神奈川県横浜市中区関内一丁目1番1号 (甲)横浜 太郎 義務者 神奈川県川崎市川崎区川崎一丁目1番1号 (乙)川崎 太郎 (4)不動産 後記記載のとおり 2 登記の原因となる事実又は法律行為 (1)(売買契約) 横浜太郎(甲)と川崎太郎(乙)は、令和3年8月1日、手付金の授受と伴に本件不動産の売買契約を締結した。 (2)(所有権移転時期の特約) (1)の売買契約には、本件不動産の所有権は、売買代金全額の支払いが完了した時に移転する旨の所有権移転時期に関する特約が付されている。 (3)(代金の支払い) 甲は、乙に対し、令和3年9月1日、売買代金の残代金全額を支払い、乙は、これを受領した。 (4)(所有権の移転) よって、本件不動産の所有権は、同日、乙から甲に移転した。 令和3年9月1日 横浜地方法務局 神奈川出張所 御中 上記の登記原因のとおり相違ありません。 義務者(住所)神奈川県川崎市川崎区川崎一丁目1番1号 (氏名)川崎 太郎 (印) 不動産の表示(例) (土地) 所 在 横浜市神奈川区神奈川一丁目 地 番 1番1 地 目 宅地 地 積 100・00㎡ (建物) 所 在 横浜市神奈川区神奈川一丁目 家屋番号 1番1 種 類 居宅 構 造 木造瓦葺2階建 床 面 積 1階 100・00㎡ 2階 10・00㎡ (敷地権付マンション) 一棟の建物の表示 所 在 横浜市神奈川区神奈川一丁目1番地1 建物の名称 横浜マンション 専有部分の建物の表示 家屋番号 神奈川一丁目1番1の101 建物の名称 101 種 類 居宅 構 造 鉄筋コンクリート造1階建 床面積 1階部分 10・00㎡ 敷地権の表示 所在及び地番 横浜市神奈川区神奈川一丁目1番1 地 目 宅地 地 積 1000・00㎡ 敷地権の種類 所有権 敷地権の割合 10万分の1 (敷地権でないマンション) 一棟の建物の表示 所 在 横浜市神奈川区神奈川一丁目1番地1 建物の名称 横浜マンション 専有部分の建物の表示 家屋番号 神奈川一丁目1番1の101 建物の名称 101 種 類 居宅 構 造 鉄筋コンクリート造1階建 床面積 1階部分 10・00㎡ (別件で登記申請書作成) 所 在 横浜市神奈川区神奈川一丁目 地 番 1番1 地 目 宅地 地 積 1000・00㎡ (持分1万分の100)
不動産売買登記・登記原因証明情報の解説
平成16年の不動産登記法の改正により、登記原因証明情報が法定の添付書類(添付情報)として、不動産売買登記申請の際、登記所に提出しなければならなくなりました。
不動産登記法改正前は、登記原因を証する書面の提出は任意でした。
その結果、不動産売買登記申請の際、司法書士に代理申請を委任する場合、多くの場合、登記事項の内容は、登記用の委任状の記載のみで登記申請されていました。
登記原因証明情報の記載内容は、どのような法律上の原因と事実経過を経て、不動産売買による所有権移転登記を申請することになったのか、すなわち、「登記の原因となる事実又は法律行為」を記載する必要があります。
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